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「塩ラーメン+とろけるチャーシュー丼(小)」@ラーメン虎一番の写真平日夜に初訪問。









○ アクセス


「ラーメン虎一番」。この店は、数あるラーメン屋の中でも最もハードルの高い店の一つだろう。
何せ

・「ご主人の愛想が無い/悪い」
・「常連さんがいると彼らと賑わってしまい、なかなか注文したものを作ってくれない」
・「(丁寧に作るためか)注文したものが出てくるのが遅い」
・「(混雑時は)ご主人にオーダーしても、返事をしてくれない」
・「(混雑時は)注文したものと異なるものを作ってしまうこともある」
・「(混雑時は)料理の質がいつもより明らかに落ちる」

と、こういった声が、決して少なくないからだ。
通常ならば、とりわけ常連さんでさえ認める6つ目の声により、「論外」としても良さそうな店である。
しかしその一方で、この店の麺類を絶賛する声もまた確かに存在する。
これは気になる。

というわけで、到着予定時間は22時過ぎ、もし店内が混雑していようものなら間違いなく終電(阪急)に
乗り遅れるというハードな条件下にもかかわらず、のこのことこの店にやってきたわけだ。


○ 入店


早歩きで店の前に到着すると、中には二人の先客しかいないことがガラス越しに確認できた。
しかも既に注文したものを食している。
ほっ。
終電には間に合いそうだ。

入店すると、ご主人が静かに「いらっしゃい」とポツリ。
ほっ。
「不調」時はこの挨拶さえされないそうだから、きっと今は「好調」なのだろう。

オーダーしたのは、「塩ラーメン」と「とろけるチャーシュー丼(小)」。
塩ラーメンは雑誌で見て旨そうだったこと、そしてとろけるチャーシュー丼は
「塩ラーメンとチャーシュー丼は相性が良い」
という私にとっての黄金律に従ったという理由で。

少しの間だけ厨房の様子を見ていたが(なんせ目の前だし)、ご主人はゆとりを持って私と
連れの男のラーメンを作っておられる。
あらためて、今日は良いものが出てきそうだという期待が高まってくる。


○ 塩ラーメン


・スープ

一口啜った時点で「はいっ、美味い!」と舌鼓。
綺麗スッキリと一つにまとめ上げられたテイストの中、いくつもの食材の旨味が燦然と輝いている。
鶏、節、煮干し類、ホタテ、塩ダレ。
こりゃあ美味いとばかりに、そのまま夢中で3口、4口と啜ってしまった。

煮干し中心の魚の味わいは「イワシやサバだけじゃないよな」と感じさせる味わいであったが、
後にサンマの燻製も用いられていると知る(ただし、この季節でも用いられているかどうかは不明)。
また、アゴ出汁も用いられていそうな香ばしさを感じたが、実際はどうなのだろう。
節もまた全体と足並みを揃えるように、決して突出することもエグみを出すこともなく、じわりと旨味を利かせている。
ホタテも地味に、しかし確かに旨味が利かされている。
鶏は、ガラにおそらく鶏油も用いてそのテイストと香りを補強していると思しき味わい(違ったらごめんなさい)。
これもまた突出することなく、しかし魚介感だけを主役にさせない程度に旨味が響いている。
岩塩が用いられている塩ダレもまた、適正な塩加減と旨味を感じさせる。
…予想以上にたくさんの旨味が綺麗に煮出されているではないか。

また、無化調であることも大きく寄与しているだろうが、食材個々の旨味が十全に引き出されている一方で、
後味に少し残る旨味までが美味い。
この後味としての旨味がまだ次の一啜りを呼び、その一啜りがその次の…と、なかなか止まれない。

・麺

細麺と平打ち麺(中太)から選択でき、私は後者を。
食前はさほど期待していなかったのだが、その期待値を優に上回る出来の良さを誇っていた。
麺そのものもさることながら、良いコンディション(茹で上げ)であったこと、そして持ち上げるスープが
綺麗なテイストと香りであったことで、より良い麺として「演出」されていたのだろう。

メニュー表には「モチモチっと平打ち麺」と書かれているが、私が頂いたものは「しっとりモチモチ」といった感。
表面が心持ちしんなりと「潤い」を含む程度に茹でられていた。
そのためか、中太縮れ麺ではあるが、啜る際に強く振動することはない。
もちろん軽く振動するものの、それと同時に口中でゴワゴワしないし、むしろ舌触りが良いぐらいだ。
噛み応えもしかり。
麺内側に相応の粉密度を有していそうなモチモチ感があるといえばそうなのだが、外側が「潤っている」分だけ、
通常の「モチモチ」よりも少し柔らかくもある。
そして中盤以降もこの噛み応えが保たれているという、「耐久力」も特筆すべきだろう。

テイストもなかなかのもの。
玉子のクセや灌水臭さはほとんど無く、上述したスープのテイストを口中に如何なく運び入れる。
そう。勘の良い人はもうわかっているだろうが、「潤い」とはスープのことである。
では「無味無臭」でスープに完全奉仕するだけなのかといえばそうではない。
噛み進めると微かに漂う小麦感が、実に渋い働き振りを見せるのである。
初めに麺の食感と麺に運ばれたスープのテイストを楽しませ、徐々に、しかしあくまで微かに
広がっていく小麦の風味。
この2段階の味わいが美味いのである。

もしかすると「どうってことない。凡庸な麺だった」と思われた方もおられるかもしれない。
しかし私としては「その『凡庸さ』の裏には、『非凡さ』が蔵されていたかもよ」と思わなくもない。
まあこの店の場合は「出来」と「不出来」の振幅においてもまた非凡さがあるようなので、
何ともいえないが。

・具

レアチャーシューに煮玉子半個、ネギ、小松菜。
レアチャーシューは肩ロース。我々に供される前に、ご主人によって白身部分が丁寧に取り除かれる。
また、訪問後に知ったことだが、厚切りと薄切りが選択できるそうだ。
厚さに関して何も注文しなかった私には薄切りが供されたが、噛む度に静かな旨味が口中に
浸透していくこの感じ。好きです。
でもこの手のチャーシューだと必ず「薄い!」とされる方もいるだろうから、それは好み次第だろう。
まあ好みというか、また別の要素によるものかもしれないけど。


○ とろけるチャーシュー丼(小)


こちらは塩ラーメンと異なり、一口食した時点で「嫌いじゃないけど、敢えてお金を払ってまでは…」
との個人的感想を抱く。
そのチャーシューは、バラ肉が何か赤い調味料でソテーされたと思しきものであったが、
そのテイストが私にはチープに感じられてしまったのだ。
まあセットメニューではなく別途注文したサイドメニューなので、良いと思えばプラス採点するが、
そうでなければ採点には含めないけど。

しかし何より、小サイズであるはずなのに、ボリュームが凄い。
他のラーメン屋ならば、「並」か「大」として供される程の量であった。
流石に全部は食べ切れそうもない故、私と身長はほぼ同じだが食欲と体重は私の約1.5倍の連れに、
残り5分の2を食して頂いたほどだ。(ちなみに、彼はこのチャーシュー丼をいたく気に入っていた)。
でも若くて食欲旺盛な男子諸君には、この上なく嬉しいボリュームであろう。


○ 退店


帰り際、お金を払い終えた私と連れに「…ありがとう(ボソッ)」とご主人。
うんうん。それでも良いよ。やはりこの日の麺類は良かったのだと再認識できるから。

さて、「塩ラーメン」。
数々の旨味が泳がされていてしかも後味も良いスープ、絶妙の塩梅を誇る中太縮れ麺、
噛む度に旨味が滲み出るレアチャーシュー等が本当に美味い一品であった。
またこの塩ラーメン以外にも、「塩菜ラーメン」(塩ラーメンに梅とシソを加えたもの)や「つけ麺」、
「地鶏・鳥塩ラーメン」、「6×4ラーメン」(魚介が6で鶏が4という割合らしい)等、
気になる麺類が盛りだくさんなのは悩ましい。

しかし誰かにお勧めするとなると、やはり腰が引けてしまう。
何せこの店の麺類は、前述したように好不調の波が激しいようだからだ。
そして私が頂いたものは、幸運にもご主人の好調時(店が混雑していないから、ゆとりを持って調理できる状態)の
塩ラーメンだったはずだ。
したがって愛想の良し悪しや有無は問わず、しかも注文したものが間違えられたり麺類の質の低いときに
当たってしまっても、「仕方ない。また来よう」と思えるだけのこころの余裕がありそうな人たちにのみ、
こそっとお勧めしたい(ハードル高過ぎ!!)。
そして私としては、開店直後か夜の9時半以降の、比較的混んでいないであろう時間に再訪するつもりだ。
ご主人が心許す常連さんがいなければいいが…。

投稿(更新) | コメント (3) | このお店へのレビュー: 0件
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コメント

 毎度~、昼飯専門です。ついに・・・ですね!。
しかも、私の持っていた感覚よりも高得点ですね~。「あっさり中華そば」じゃ無く「塩」とは渋い・・・。

>…予想以上にたくさんの旨味が綺麗に煮出されているではないか。
~・・・旨そうですね。あの大将の「無愛想」の裏に秘めるテクニックがしっかり発揮されてる様ですね。
 魚介と動物がそれぞれ綺麗に強く立って、シンプルな塩で調整って感じでしょうか・・。

>そして持ち上げるスープが綺麗なテイストと香りであったことで、より良い麺として「演出」されていたのだろう。
~当然の如く「自家製」では無いこちらの「麺」・・・・。
 でも、「何かイケる」麺ですよね・・・。西大専門もここの麺は「美味しい」と言います・・・。

 もう1年以上も伺ってませんが、何度が酒を飲み過ぎてから伺った印象では、
「旨い時と???な時がある」です。正に文中で指摘されている「ムラ」ですね。
一度「サンラーメン」を食べた時なんかは、「この店、無化調やったよな?」と疑心暗鬼になった上、
スープを半分残した位です。(笑)それは自分の味覚がおかしかったのかも知れません。
でも、いっつもかなり飲んだ状態で食べていたので、実の所私は殆ど味の記憶が無いんです・・。
今度、夜に小腹が減ったら、是非再訪してみたく思わせる素敵なレビューを有難うございました。

昼飯専門 | 2009年6月16日 15:59

昼飯専門さん コメント等ありがとうございます

>「あっさり中華そば」じゃ無く「塩」とは渋い・・・。

情報誌で「塩ラーメン」が紹介されていて、それがやたらと旨そうでした。
しかし塩ラーメンの選択が「渋い」とは?

ちなみに私は、同じ青湯ならば、醤油ラーメンよりも塩ラーメンの方が好きなんですよね。
「醤油が美味い!」よりも「塩ダレと複数の出汁の旨味の共演が美味い!」の方を好むというか。
でも醤油ダレがデフォのラーメンが塩ダレに変えられたものは、必ずしも好きじゃないのですが。

>魚介と動物がそれぞれ綺麗に強く立って、シンプルな塩で調整って感じでしょうか・・。

「シンプルな塩」、ですか。
御自身がおっしゃるように「醤油派」の、もしくは、現時点で醤油ラーメンと塩ラーメンの採点比率が
ほぼ7:1の昼飯専門さんらしい表現だなと妙に感心してしまいました。
しかし実際のところは、どんなものなんでしょうね。
どうせ手が込んだものなのでしょうね。

>何度が酒を飲み過ぎてから伺った印象では、「旨い時と???な時がある」です

新たな証言者が…。
やっぱそうなんですか。

>一度「サンラーメン」を食べた時なんかは、

そういえばサンラーメンって、一体どんなラーメンなのですか?
「卵とじのピリ辛とろみスープ」と表記されてありましたが、全然想像できません。

>今度、夜に小腹が減ったら、是非再訪してみたく思わせる素敵なレビューを有難うございました。

いえいえ。
というか、素直に昼飯専門さんが羨ましいですよ。
京都に住む私の場合、もしハズレの時間帯に行ってしまったならば、「仕方ない。また来よう」と
簡単に言える距離に住んでいないですからね。


ではでは

poly-hetero | 2009年6月16日 23:41

ここの、店主さんと付き合うのはかなり難しいですよね・・・・

梅里 | 2009年9月13日 01:56